病的肥満と減量手術+糖尿病の外科治療

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アメリカ肥満外科学会・ビルボード

世界最大の肥満外科学術集会

ASMBS アメリカ肥満・代謝外科学会リポート

肥満外科治療の最前線 State of the Art

Gayloard National会場のGayload National2008年6月15日から6日間米国ワシントンDCにおいてアメリカ肥満外科学会が開催された。現在米国を中心に世界で急激に広がってる”現代の流行病”である肥満とそれに関連した代謝疾患(糖尿病や脂質異常、高血圧など)を手術で治療することに関する最新の知見にふれてきた。

2008年6月15日からASMBS(アメリカ肥満外科・代謝外科学会)がワシントンDCにて開催された。現代の流行病である肥満が最も深刻であるアメリカ合衆国でその外科的治療の最新の知見についてふれる機会に巡り会えた。ご存じのように地球上では飢えに苦しんでいる人々(こどもたち)が多い一方、肥満によって著しい健康障害を来している人たちも多く地球上でのアンバランスが大きな問題である。さて、この学会は今回で25回目を数えるが前回まではASBS(American Society for Bariatric Surgery)つまりアメリカ肥満外科学会であったが今年からASMBSと"M"の一文字が加わった。これは、最近日本でも問題となっている" Metabolic(メタボリック)"のM である。肥満を治療する手術が2型糖尿病を治すことが分かってから久しい。手術で糖尿病が治る患者さんがいるということは現象として肥満外科医は知っているがそのメカニズムが完全に解明されたわけではない。最近この未知の分野にメスが入ろうとしている。もし、そのことが事実なら、短期的・長期的に安全であることが証明されたなら糖尿病の患者さんにとっては朗報となるだろう。この会議ではこの話題が多く発表され熱いディスカッションが交わされていた。上の大きな写真はその会場であるが会場はぎっしり埋め尽くされておりその興味の大きさを示していた。ちなみにこの場面で発表しているのは笠間和典先生ですが彼のプレゼンテーションはとてもアトラクティブでかなり好評であった。口演後、多くの外国人から良かったと声をかけられていたことを付け加えておく。.

肥満の外科治療について学ぶ course

Basic CourseBasic Course残念ながら日本は肥満に対する外科治療の分野においてはかなり遅れているといわざるを得ない。確かに先進諸国の中では最も肥満の少ない国であり手術治療の需要は少ない。しかし、日本の人口の約0.3%が病的肥満(普通の肥満は20%)だとすると約40万人が手術治療の候補となる可能性がある。そのような状況で日本では肥満外科(減量外科)手術に関して学ぶことのできるチャンスはほとんど無い。大学の医学部でも教えていないし外科系の学会でもほとんど取り上げられないし、日本の医学書にもほとんど記載がない。このようなことから外国のテキストブックやインターネットサイトで勉強するか、海外へ留学するしかない。そのような訳で今回はこの学会において勉強するための様々なコースが用意されていたので”減量外科手術の周術期の管理・治療”についてのコースを選択した。合併症を起こさないような最大の努力をすべきではあるが『合併症のない手術は無い』のであるから、もしそのような事態に遭遇すれば迅速に診断し、適切に対処しなければならない。このコースには肥満外科医をめざす多くの参加者がいてかなりの熱気に包まれていた。どのような合併症が起こりうるのか、その臨床的なサインは何か、どのような検査が必要でその所見は何か、どのような治療をどのタイミングで行うのか等を複数のfuculity によってプレゼンされ最後にexaminationとその回答が行われた。外科治療は侵襲的な治療なので手術そのものと同等かそれ以上に合併症への取り組みが安全性を高めるために必須であるため得たものはかなり大きかった。毎年このような機会はあるので今後もこのような機会を利用して日本にこの知識を持ち帰り、そして伝えていかなくてはならないと思った。(2008.6.20)