減量手術が適応外(受けられない)になる場合
減量手術までのいろいろなハードル
減量の手段として手術が最良かを総合的に判断
神の手Hand of God世の中には無数の病気があふれているように思われがちですが実は、あらゆる病気は5つのカテゴリーに分類できます。すなわち①炎症(風邪や肺炎など)、②腫瘍(ガン、腺腫など)、③循環障害(心不全、脳梗塞など)、④代謝疾患(糖尿病、高脂血症など)、⑤奇形。それらの疾患や病態に対して人類はこれまでいろいろな試みを行ってきました。その結果、どのような状態にはどの治療法がベターかという知識が集積されています。それが「医学」そのものなのです。実は治療にもいくつかのパターンがあります。①何もしない、②薬剤、③手術。実は多くの病気やケガは何もせずに治癒します。体には自然治癒力が備わっています。風邪を引いたり、転んで擦り傷を作った時はある程度の苦痛と時間を要するものの多くは自然治癒します。ところが、自然に治らない病気も存在します。高血圧や糖尿病は発症してしまうとなかなか自然には治りません。そこである程度の副作用を受け入れながら「薬物の治療」が必要になります。そして、手術がもっとも効果的と考えられている病気も数多く存在します。炎症(虫垂炎、胆嚢炎、腹膜炎)や腫瘍(胃がんなど)、循環障害(弁膜症、狭心症など)、代謝疾患(バセドウ病、クッシング症候群など)奇形、外傷に対して幅広く手術が行われています。手術は目的ではなく手段です。我々の戦う道具は薬であってもメスであってもいいわけですがもっとも効果が確実で安全性の高いものが治療においていい道具といえるでしょう。実は使い方を誤れば薬の多くは「毒」であり手術で使う器具の多くは「凶器」です・・これは本当です。医学のシンボルマークは「へび使い」ですよね。危険な毒蛇をうまくコントロールできることがいい医師ということでしょう。ですから、病的肥満の治療においても手術治療がそれぞれの患者さんにとって最良であるのか、いい結果が望めるのか、手術を行うことが逆の効果をもたらすことはないのかを慎重に検討することが必要です。手術を行うことでいい結果を望めないという時は手術を行うべきではありません。その基準を下記に示します。
減量手術ができない身体的な理由
以下の場合は手術以外の減量手段を考慮しなければなりません。
- 体重が減量手術の基準に満たない場合(BMIが32未満)
- 手術や麻酔自体が危険な場合(重症の心臓病や肺疾患など)
- 肥満の原因が内分泌疾患(クッシング症候群など)や薬物による二次性肥満の場合
- 薬物依存(アルコール依存も含む)の場合
- 神経・精神の疾患があり治療を受けている場合
- 過去に開腹手術などを受けていて高度の癒着が予想される場合
- その他外科的治療が困難か危険と判断された場合
減量手術ができない社会的な理由
身体的な条件では手術適応と判断されても下記の場合は手術は望ましくありません。
- 手術以外の減量の努力(食事、運動など)の経験がない(手術はあくまでも最終手段)
- 肥満の治療のために内科医師に診てもらったことがない
- 減量手術の限界、効果、危険性を十分理解していない
- サポートグループ(患者会)に参加したことがない
- 家族に理解してもらっていない。反対する方が一人でもいらっしゃる場合は不適応です。
- 術後半年から1年程治療に専念できる。(仕事を短期しか休めない場合は不適応です)
- 少なくとも術後3年間は通院が必要です。その約束が出来ない場合
- 術後サポートグループに参加することができない
- 減量手術に関するテストに合格出来なかった
- 2年以内に妊娠・出産を希望する
- 手術や麻酔、入院に必要なコストを負担できない
- その他、バリアトリックセンターのスタッフ会議で不適とされた場合

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減量手術・肥満手術への道のり