減量手術のコスト

それぞれの減量手術にかかる費用は下記の表の通りです。

これらの費用は入院、手術、材料費、麻酔、投薬、検査等を全て含んでいます。体重やリスク評価によって若干費用が増大することがありますので実際には診察時時に問い合わせてください。メールはこちらLinkIcon

腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術
135万円(税込)

※ 現在のところ保険診療になっておりませんので原則的には自費になります。

腹腔鏡下袖状胃切除術
135万円(税込)

※ 保険診療が一部適応になりました。詳細は問い合わせてください。

腹腔鏡下調節性胃バンディング術
135万円(税込)

※ 薬事で承認されていない医療器具を使用。現在のところ保険診療になっておりませんので自費になります。

胃縮小術
自己負担 20万円前後

これは健康保険適応可能ですが、原則開腹手術となります。

胃内バルーン
当施設ではトレーニングコースを受けた認定医がおりますが施行予定ありません。

減量手術に要するコスト

技術的要求度は高く高価な使い切りの手術器械を多用する

自費診療が原則

使い捨て器材ご存じのように日本は「国民皆保険制度」という世界でも類をみない制度があります。この制度においては保険証さえもっていれば、日本全国どこでも、だれでも平等な医療が受けられると謳われています。これは非常に素晴らしい側面があります。住んでいる場所や経済的な力の差異によって受けられる医療の量や質に差がないような仕組みになっています。つまり命だけは平等に扱われるということです。一方、医療費以外の分野においては食、衣、住、教育など生活の基本的なことに関しても経済的な力の差によって得られるものの質と量が変わってきます。いわゆる市場経済の仕組みです。医療に関しては国が決めた「完全計画経済」になっています。薬の値段や使える量、検査の値段と回数、手術に使用する機器の値段や個数、手術の技術料等も全て国が完全に管理しています。必要があってより多くの薬剤を使ったり、多くの検査をしてもその超過分のコストは病院が払わなければなりません。薬の値段はともかく、手術の技術料は医師免許さえもっていれば誰がやっても同じであり質は問われないのです。つまり、手術の質にかかわらず同じ保険料しか病院は社会保険事務所に請求することはできません。この制度のメリットのひとつは医療費の高騰を抑えることができることです。つまり究極のローコストの手段となっています。ですから手術のうまい人が多くの技術料を請求できるような仕組みはありません。手術の質の保証はなんと日本では各々の外科医の自己修練に任せられています・・いわゆる性善説ですね・・チェックはありません。しかし、現実的には、技術や知識を習得していくのにはかなりの労力とお金と時間を必要とします。学会に参加すること、研究発表をすること、論文を医学誌に投稿すること、トレーニングコースを受けることなど、挙げればきりがありませんがそういうコストは多くの場合医師の生活費の一部から支払われますし減税の対象にもなっていません。会社などの経費や役所の出張手当などの類は一切ありません(学会出張費は病院から出る場合あり)。そのため向上心のある外科医ほどある意味損をするという矛盾した仕組みがこの国では長年放置されたままになっています。これが本当に国民のためになっているのかは疑問です。さて、厚労省が決めた医療保険の内容では「病的肥満に対する外科治療」でひとつだけ保険点数の記載があります。それは「胃縮小術」です。それは20年ほど前にできた項目であり現在実際行われている手術の内容とはかけ離れていますのでこれをもって保険請求(医療費の請求)は困難になります。つまり、かかるコストに対して比較にならないほど請求できる金額が低く設定されています。試算では手術をすれば少なく見積もっても1例あたり70万円の赤字が出ます。そのため、病的肥満に対する減量手術は完全自費に設定している施設が多くなっています。2010年より腹腔鏡下スリーブ状胃切除術のみ先進医療が認められましたので大分大学を始めとする一部の施設で手術費用分の自己負担とその他の費用の保険支払いという『混合診療』が可能となりました。患者さんの負担は全額自費よりも軽減されますが、腹腔鏡下胃バイパスやラップバンドなど世界でもっとも多く行われている手術は残念ながらカバーされておりません。

手術に使用する材料費

内視鏡手術機器・機材「弘法筆を選ばす・・」という有名な言葉がありますね。確かに道具よりも技術を向上させることは外科医にとって非常に大切なことです。しかし、まあまあの完成度ではなく極限の完成度を求めるならば、やはり筆は選ぶべきでしょう。北島康介選手だって北京オリンピックでは最終的には国内の契約したメーカーではなくイギリスのSPEEDO社のレーザーレーサーを使って2冠を達成しましたし、超一流のバイオリニストのほとんどは「ストラドバリウス」とともに芸術を極限まで高めています。手術は人の命がかかっており極限の技術を要しますので、最高のコンディションで手術を行わなければなりません。今日、減量手術の多くはおなかを大きく切ることのない「腹腔鏡」で行われています。カメラシステムは1千万円以上します(これは使い捨てではありません)し、手術に必要な使い切りの機器も非常に高価です。おなかの中に道具を出し入れするトロカール(ポート)とよばれる器具は1本15500円もします(通常5本使います)。腸管を切ったり縫ったりする「ステイプラー」とよばれる器械は5cmの距離の腸を切るだけで5万円かかります(2回目から29000円)。その他、超音波メスも使い切りで83000円です。その他様々な使いきりの器械を使用しますので、結局胃バイパス術や袖状胃切除術をする場合は材料費だけで少なく見積もって50万円かかることになります。手術料、入院費、薬剤費、麻酔料、他を合わせるとかなりの大きな金額になります。
また、腹腔鏡下調節性胃バンディング術を選択する場合はLAP-BAND(ラップバンド)システムがまだ、厚労省の認可を得ておりませんので医師の名前で個人輸入することになりますのでそのコスト(材料費+輸入手数料)が上乗せされます。
減量手術にかかる医療費は手術の種類、患者さんの状態(BMI、併存疾患の有無など)により大きくかわってきますので一概には言えませんがどんなに少なく見積もってもトータルの医療費は150万円はかかると思っていた方がいいでしょう。合併症が起こった場合の治療費を込みにするか、それとも追加で新たに発生するのかによっても大きくそのコストの計算は変わってきます。ちなみにアメリカでは日本円にして270万円ほどかかるとのことです。
ただ、これは美容を目的としているわけではないので、出来るだけ早い時期に厚労省のテーブルに乗せて保険診療にしたときに国民がうける恩恵について議論してほしいと思っています。病的肥満の患者さんの合併症治療に必要とする医療費は莫大ですから国家財政の面でも有利に働くはずです。

手術に必要なSUD(single use device)の一覧

エンドリニアステイプラー エンドリニアステイプラー使い切りの機器は下記のような種類を使います。

  • トロカール(EXCELまたはVersaport)4本から6本必要・・・6万円から9万円
  • 超音波凝固切開装置(ハーモニック・エースまたはソノサージ)・8万円〜
  • ベッセルシーラー(リガシュアまたはエンシール)      ・7万円〜
  • リガクリップかエンドクリップ               ・27000円
  • エンドリニアステイプラー(エンドカッター、エンドGIA)7発前後必要 249000円
  • 必要時はステイプル補強剤(ネオベールまたはデュエット)1本使用
  • 針糸バイクリル 多数必要
  • 針糸エチボンド 多数必要
  • トロックスガーゼ 数枚
  • ドレーンシステム(JVACドレーン、リザーバー)1セット必要
  • 臓器収納バッグ(エンドキャッチII)

調節性胃バンディング術の場合は使い捨てではなく、半永久的に体内に埋め込みます。